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2001年3月9日配信 有給休暇
2週間の「研修期間」を無事終了。ようやく「研修期間」も終わり、営業部へ正式配属となりました。
S君は1課、Y君は3課、私は2課へと配属が決まりました。来週の月曜日は全体朝礼で自己紹介と今後の抱負の発表です。
毎週月曜日は6:30から全体朝礼が始まります。
シマシャツ姿が約250名、東京店の全ドライバーが各係別に並んでいます。
ここにいる全員が年収1千万!?そう考えるとその姿はさらに壮絶に映ります。私達3人は端に1列になって並びました。
まず、全員で体操。整列し直したところで「社是」と声がしたと思うと、各列前列の人間が「はい!」 「はい!」 「はい!」と何人も「叫んで」います。
おお、その「叫び方」には覚えがあります。そう、あの江ノ島で努力した「大きな声」でした。
1番「声」が大きかった彼氏が指名されました。
彼はさらに大きな声で返事をすると壇上にあがりました。
いったい何が起こるのか、朝礼からワクワクさせてくれます。
彼はみんなを先導して社是を提唱しはじめました。
実は、彼らは壇上で社是を提唱したくて「叫んで」いたのでした。
社是の後、係長から連絡事項を伝達、そして私達の紹介と続きました。
自己紹介、入社の動機、今後の抱負を壇上で発表します。
「新人」となめられないためにも、先程の社是の彼氏に負けない「大きな声」で挨拶する必要があります。
私はありったけの「声」で挨拶し、ドライバーさんから暖かい拍手をもらうことができました。
へぇー、ドライバーさんは意外に優しいのだなと感心しました。
全体朝礼が終わると全員が駆け足で移動を始めました。とにかく、動きが素早い。
もう少しで私達3人は取り残されてしまうところでした。
研修生担当の運行管理課に引率され、これからお世話になる係長に引き合わせてもらいました。
私の配属係は1次面接を受けたT係長担当なので緊張はありません。
簡単な挨拶の後、「そうだな、とりあえず荷おろし行って!」
えっ、また荷おろし?
私はすでに佐川の一員、つまり「ドライバー」として認められたと思っていたのでしたが、現実はそんなに甘くなく、まだ私は佐川では必要とされる「ドライバー」ではないのです。
その他大勢、つまりいくらでも代わりが利く人間でしかありません。
これは後日、運行管理責任者からはっきりと言われました。
彼女の用事に付き合いたかったので、平日に有給を使いたいと申し出たときでした。
「いいか、よく考えてものを言えよ。普通の人は生活があって仕事があるのかもしれない。でもおまえらは、仕事があるから今の生活があるんだぞ。今の生活が必要ないなら明日から来なくていいぞ。」
佐川では有給休暇は無いに等しいのです。
当時は4週6休(4週間で6日休み)、20日を締日としてシフトを組んでいました。
6休の内訳は4日が休日、残り2日が「有給休暇」として処理されています。
その休日を2週間で前半と後半に別け、休みが偏らないように振り分けて作成されているのが「勤怠管理一覧表」、通称「有振り」でした。
通常の休みはうまく周りがカバーできるようにシフトが組んでありますが、いきなり休まれる(来なくなる)とその担当地区は大変なことになります。
遅刻とバックレは佐川では厳禁です。
どんな問題児でも、この2つを守っている限り佐川では安泰です。
荷物は地区担当者がトラックを駐車場から乗って来て、朝積み込むことになっています。
荷物を積み込むターミナルは全車が1度に着車できないので、着車順もしっかり決まっています。
もし、遅刻した場合には順番が飛ばされ積み込みは最後になってしまいます。
当然、荷物は到着したままホームに置きっぱなしです。
当時は携帯電話がこれほど普及していなかったので、自宅に連絡して電話にでなければ所在は不明、来るのだろうと思って作業するしかありません。
それに朝はやることがいっぱいで、遅刻するような奴を面倒見る余裕はありません。
6:30に出勤、点呼をとって荷おろし、荷引き、積み込み。
同僚の積み込みを手伝い、自分も荷物を積み込みます。
トラックの差し替え、係の朝礼もあります。
さらに延着分の荷物を積み込んでから貴重品の確認、点呼を受けてやっと出発です。
皆と同じ時刻に出庫すると渋滞してしまうので、一刻も早く同僚より出庫しようとドライバーは走り回っています。
どうしても必要な荷物を取りに来たY商工の課長はその様子を見て、「戦時中みたいだった」と表現していました。
軍艦マーチがガンガンなっていたせいもあるのでしょうが・・・
佐川には余剰人員、つまり自分の代わりのドライバーはいないのです。
自分が時間通りに行動しなければ、最終的には全てお客様に迷惑がかかってしまいます。
遅刻する奴はドライバーじゃない、昨日どんなに疲れていても、翌日は必ず時間通りに出勤する。
仕事内容を知って働きに来ているのだから甘えは許されません。
もし、担当ドライバーが来ないとどうなるのか。
出庫時間になっても荷物はホーム上、トラックは車庫に置きっぱなし。
この判断は係長がするのですが、最悪の場合には係全員で協力して荷物を配達します。
配達順に積み込んだ荷台はめちゃくちゃになるし、出庫が遅れて、前日お客様と約束した配達時間は守れなくなる。
当然集荷にも影響してきます。
ですから1人でも勝手に休まれるとその係全体、つまり担当地区の佐川全部に悪影響が及んでしまいます。
新人の頃は「荷物が延着してご迷惑をおかけいたします。」と言い訳したのですが、お客様もさすがに簡単には騙されず、「佐川だけがなんで延着するんだ?福山、西濃は順着しているぞ。」と、とても怒られた記憶があります。
素直に事情を説明しても納得していただける人間関係を築くのが重要、そのことに気が付くのはまだまだ先のことでした。
では本来の有給はいつ使うのか?
それは退社するときです。
仕事に行かなくても有給の分だけ、今までと同等の金額が支給されます。
退職したドライバーと会う機会は殆どないので断言できませんが、私の先輩達はそれすらなかったと「噂」されています。
一夜明けたら、世界が変わっていたなんてことはなく、やはり、私はまだ佐川では名前だけドライバーなのでした。
しかし、東京店で1番になるチャンスは手に入れました。あとは努力次第!がんばるぞ!
まだまだ道のりは険しいのでした。
*この内容はフィクションではありませんが、あくまで私の体験談です。現在の状況についてはお近くの佐川急便へお問い合わせください***