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MailMagazine:ほんとうの佐川急便  Vol.7 配達
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2001年3月23日配信 配達

新人ドライバーは仕事の流れを覚えるのさえ戸惑います。
なにしろ、先輩が言うことが十人十色なのですから。

誰の言葉を信じれば良いのか、世間の常識は通用しません。

新人はまず適当な先輩にあずけられ、彼の後を1日中ついてまわります。

佐川急便では仕事はもらうものではなく自らつくるもの。
佐川にあるのは営業方針だけ。

目的を達成する「正しい方法」はありません。
自分で工夫して売上目標を達成しなくてはなりません。

これは新人にしても同じこと。
>自らがわからない事を質問しなければ、先輩からは何も教えてもらえません。

大体はここでつまずきます。
先輩は何がわからないのかわからない、新人は何を聞いたらよいのかわからない。

佐川に入ってまず実感すること、それは先輩の動きがメチャクチャ早いこと。
遅いのは50Km以上だせない運転だけ。

9:00に配達を始めてから12:00まで、タバコ1本吸わずに働きっぱなしです。
この間、トラックから客先までは常に駆け足。
当時、台車に荷物を載せながら走っていたのは佐川だけです。

5,6階までならエレベータは使いません。
効率が良い階段で荷物を抱えたまま駆け上がります。

配達の合間に当日配達の集荷連絡を2回チェック、さらに10:30と11:30には追加の荷物が到着します。
これらを全部12:00までに必ず配達終了します。

佐川では「午前中必着」は当前なのです。

配達が早ければ出荷なさってくださるお客様はもちろん、普段は全く相手にされないお客様にも出荷交渉がしやすくなります。
佐川では「営業は配達から」が鉄則です。

会社から制服で1歩外へでれば、それぞれが社長。
だから1日の予定は決まっていません。

実際には仕事に関する追求が厳しいので、ドライバーはそれぞれが命一杯の仕事を抱えることになります。

配達、営業、集金、債権管理、集荷を全て管理するのは容易ではありません。
まず、配達が終わらなければ1日は始まりません。

お客様はどんな理由があろうと早い配達を待っています。
新人と「遊んでいる」時間はありません。

先輩はいつものペースで動くのでついていくのがやっとです。
この頃が体力的には最もキツイと思います。

人によりますが、大体1ヶ月で5Kgは体重が減ります。
新人の頃は先輩につい行くだけで仕事を覚える余裕なんかありません。

通常はこの時期が約3週間あり、様子を見ながら1人で仕事をするようになるのですが、私の場合は少し違っていました。
1週間の同乗で先輩が突然出社しなくなったのです。

当時は今の半分の人員で稼動していたので代わりのドライバーはいません。
急遽、私がその「コース」(*1)を担当することになりました。

朝の積み込みでは荷台には配達順に荷物を積み込むのですが、このコースは問屋とオフィスが半分ずつあり、荷台は毎日満載です。
先輩が積み込みを手伝ってくれると積み込めるのですが、私1人ではうまくいきません。

新砂から本町へ行くには必ず橋を渡る必要があり、その橋を抜けるのに15分程かかってしまいます。
先輩達は裏道をうまく抜けていくのですが、積み込みの遅い私は1番最後の出庫なので裏道の存在さえ気が付きません。

本町までは大通りを使ったひとつの道しか知りません。
出庫が8:45頃、到着は遅いと9:30になってしまいます。 それから伝票を配達順に組んでから配達開始です。

先輩は遅くても9:15には1件目の配達を終えていました。
この時すでに30分以上を浪費しています。

本町に生まれて初めて来て1週間。
6ブロックとはいえ、まだビル名さえ完全ではありません。
始めの何軒かは「べた」(*2)なのでなんとかなっても、ビル内の配達には参ってしまいます。

効率の良い配達のため台車には配達順に荷物を積むのですが、お客様の階数を把握してないので客先で台車から荷物全部おろすことになり、作業効率なんて言っている場合ではありません。

しかも、ビルの8階に3才(*3)ものを40個配達なんて当たり前。
最高で160個配達した記憶があります。

朝の積み込みでしっかり荷台に積み込めないので、同じお客様へ何回も配達する事になってしまいます。

当時は配達300個、集荷350個で到発(*4)650個。
先輩は12:00頃に終わっていたのに、私の配達が終わるのはなんと16:00頃。

1日中ジュース1本飲まずに走りまわっても、無線からは配達確認が常に鳴りっぱなし。
お客様からは大クレーム、担当者を代えて欲しいと言われたこともありました。

当時はまだ佐川にしかできない仕事があり、配達が遅いからと出荷が減ることはありませんでした。
佐川には配達より集荷の方が自店舗に利益を生むシステムがあり、集荷が多い東京店では配達のクレームには寛大なところがありました。

しかし、当時の私にはそんなことを知る余地はありません。

配達を心配して先輩が手伝いに来ることはなく、焦って時間が過ぎるばかり。
先輩にできて私にできないはずがないのですが、配達時間は簡単に短縮することはできません。
責任を感じるものの、お客様にはただ平謝りするだけでした。

約1ヶ月過ぎ、ようやく14:00に配達完了できるようになりました。この間昼飯なし、夜は疲れて食事する気になりません。
しかも、通勤には1時間半かかります。毎朝4時30分発の始発に乗るので睡眠時間は4時間程。
私はこの時期に15Kg痩せました。

先輩、後輩、お客様、佐川急便、クレーム、配達、集荷、営業。
迷惑をおかけしたお客様には申し訳ないけれど、この時期はいろいろなことが勉強になりました。

14:00頃配達が終わってもゆっくりしている時間はありません。本来は12:00に終わっていなくてはならないのです。
今まではいきなりコースを担当したこともあり、集荷は先輩にお願いしていたのですがいつまでも甘えてられません。

は〜、先輩はすごいな。
私はいつになったら一人前になれるのだろう。

*1「コース」=営業部ドライバーが責任を持って担当する地域。
*2「べた」=1階にある店舗のこと
*3「才」=荷物の大きさの単位。1才で大体みかん箱位の大きさ。3才なら2段式カラーボックス位。実際には大きさに規定はない。わかりずらいので現在は大きさを縦+横+長さの合計で決めている。
*4「到発」=配達と集荷をあわせた1日の仕事量の目安

*この内容はフィクションではありませんが、あくまで私の体験談です。現在の状況についてはお近くの佐川急便へお問い合わせください***

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