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2001年4月6日配信 佐川の先輩達
いきなりコースをまかされてすべてに戸惑いっぱなし。
まわりの先輩も自分の事で精一杯なのか、すぐ隣にいるのに声さえかけてくれません。
これって私が甘えてるのかなぁ?
当時の先輩達を振り返ってみます。
当時、佐川にはいろいろな人達が集まっていました。
事業で失敗して借金返済のため働く者、夢を実現するための準備期間と考える者、短期資金作りと割り切って働く者。
トラックが壊れれば整備士、植え込みが荒れれば庭師、髪の毛が伸びて床屋に行く時間がなければ理髪師。
殆どの職業の人間が集まっていました。
そんなドライバー達。
下は新人、上は役職まで全員の目的は「給料」。
自分が一生懸命働いて、どれだけの給料がもらえるのか。その答えを「佐川急便」に求めてきた人達でした。
これは入社してから実感するのですが、努力次第で自分の方針が認められ、より仕事がやり易くなるのなら男として夢のような職場です。
ドライバーの仕事は集配、営業、集金、債権管理。
しかし、その業務において研修はありません。唯一の条件は会社の指示は絶対に守ること。それ以外は効率の良いことが正解なのです。
そのため、一部地域を除き、他業者とは違う悪い一面がありました。現場の先輩達は仕事をいかに効率よく終わらせるかに焦点を合わせ、お客様の立場に立った業務とは一部かけ離れた部分もありました。
集配業務では担当ドライバーが休みの日、代配(*1)が担当するときに問題が起こりやすくなります。
普段と配達時間が違ったり、約束事が守られなかったり・・・等。引継ぎを完全にすれば問題はないのでしょうが、マニュアルがないので何をどう引き引き継げば良いのかわかりません。
その結果お客様に迷惑をかけてしまうことが非常に多いのです。
中にはスポット等(*2)を自分の休みの日に調整する者、また、勝手に配達、集荷順を回り易いように変更してしまう。
代配はいかに効率よく仕事するかのみを常に考えていました。
大雨の日、配達の荷を軒先にきれいに50箱積んでいった奴、配達先が8階なのに口物(*3)だからと1階のエレベータホールに放置した奴、不在だからとポストに書類を入れた奴。笑えない事件がたくさんありました。
残念ながら、貴方の職場にもそんな話が残っているはずです。
集金にも問題がありました。
毎日白紙の領収書を持参しているのでいつでも集金ができるのです。
支払い日にしっかり集金するドライバー、日付に関係なく、まとめて20日に集金するドライバー、お客さまから言われて初めて集金するドライバーとさまざまでした。
お客様にしてみれば例え請求書に決められた支払い期日であっても、いつものドライバーはそんなこと言わないのに・・・
今日に限って何故うるさくこだわるのか理解してもらえません。
佐川はだらしない、信用できない。四角い物が丸くなって届く。
他業者では当たり前のことを佐川はできない。運賃に問題が多すぎる。
何年佐川と付き合っていても担当が代わると融通が利かなくなってしまう。
新規営業時にはお客様からはよくそんな声をもらいました。
では、ドライバーの上司、役職の係長、課長は何をしているのか?
お客様からの問題をどう感じているのか。また、どう改善していくつもりなのか。
残念ながら、彼らの仕事は担当地区の売上の確保、ドライバーの管理が仕事なのです。
ですから、めったにお客様と交渉しません。
貴方の会社に担当課長が挨拶に伺うのは何か大きな問題が起きたとき。
ドライバーはコースでは社長なのです。だから方法は任せてある、自分で蒔いた種は自分で刈れ。
そんな社風でした。
では、なぜそんな先輩達がいる佐川が売上を伸ばせたのか?
私はオフィス街に配属されたので、先程の先輩達が全てかと思っていました。しかし、佐川急便の実態は違うところにあったのです。
オフィス街と問屋街では全く別世界なのでした。
当時、佐川急便で最大の顧客は繊維業界でした。
仕分けのシステムや積み込みの方法。これらは繊維関係を中心に考えていたといっても過言ではないと思います。
繊維業界は車と同じようにたくさんの会社がひとつの製品の仕上がりに関わっています。生地、縫製、試作、織りネーム、値札、刺繍、さまざまな工程がさまざまな場所で行われています。そしてその殆どが中小企業なのです。
当時の大手運送会社は世の中の80%を越す中小企業を相手にしていなかったのです。
佐川急便では荷主様が唯一のお客様です。荷主様の代わりに商品(荷物)をお届けする。
荷主に大手・中小企業、個人の区別は必要ありません。佐川のドライバーはコース内では社長。
自分の担当地区内で売上を確保するのが仕事です。売上目標金額が指示された以上、それは必達。
ではどうすれば目標を達成できるのか。
例えば、大手3社による売上金100万のコースと1万円のお客様が100件のコース。
共にトータルの売上金額は同じ、つまり目標金額も同じになります。貴方ならどちらの売上を望みますか?
佐川ではこう考えます。
当然、大手3社によるコースの方があらゆる労力が少なくなります。
しかし、大手3社に限定すれば売上に対する依存度は高くなり、運送会社の変更、または移転があれば売上の確保はできません。しかし、100件のお客様があるということはまだまだ売上は望めるのです。
例え100%佐川に出荷されていてもスポット等に期待できるし、新規事業に乗り出した場合の売上は想像がつきません。
大切なのは毎月の売上を確保することです。お客様からいくら運賃をもらえるかではありません。
だから大手だからと特別な扱いはしません。売上が少なくても、1個でも依頼があれば大切なお客様。
売上が少ないお客様にも同じサービスを提供。荷主の要望にはどんな事でも精一杯努力します。
どうしても明日届けて欲しい、21:00を過ぎるけど4才物を50個集荷して欲しい。
商品が期日までに納品できなければ商売にならない荷主にとって、運送会社が集荷締め切り時間を設けていたのでは話になりません。
佐川はこんなお客様の要望に確実に応えました。
当時、そんな要求に応えたのは佐川だけです。
発送さえできれば、本州は翌日配達。九州・北海道でさえ中1日で納品できます。
横山町(*4)で佐川を知らない業者はいません。
問屋街ではいくら一人でがんばっても集荷は終わらない。だから回りで一致団結、協力しあって仕事を確実に終わらせていく。
そしてこれは私の配属された係に1番足りないもの、そして1番必要なことでした。
佐川急便が今日まで売上を伸ばすことができたのは、それは時代の要求に対応できたこと。
そして佐川の精神、「顧客第一主義」にあると思います。
今では、悪い方ばかりを見てきた後輩が指示をだす立場になり、かっての問屋街は景気の斜陽と共に風前のともし火。
要領だけのドライバーが増えてしまい、真面目に働く社風はなくなりつつあるように見えてしまいます。
あの当時は余裕がなかったけれど、今、思い出すと全てに最高の環境だったのではと感じてしまいます。
これから佐川はがんばっていけるのでしょうか。
退職したとはいえ、心配になるときがあります。
*1「代配」=何かあったとき(主に休み)に担当ドライバーの代わりにコースを担当する者。
普段聞けないお客様の声を確認し、問題点などを担当ドライバーと一緒に改善していく役割。本来はベテランドライバーが担当しています。
*2「スポット」=通常に集荷する以外の荷物。カレンダー、カタログ等、短期的な集荷の事。知らずに集荷に行くと何年経っても焦ってしまいます・・・ハイ。
*3「口物」=伝票が1枚で2個以上の荷物。
*4「横山町」=東京都内最大の卸問屋街。生地、洋服問屋が集まっています。
*この内容はフィクションではありませんが、あくまで私の体験談です。現在の状況についてはお近くの佐川急便へお問い合わせください***