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MailMagazine:ほんとうの佐川急便  Vol.10 物保険と事故
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2001年5月4日配信 物保険と事故

佐川は荷主様から依頼されればどんな荷物でもお預かりします。
荷主の依頼には誠心誠意応える。これが顧客第一主義の佐川急便の精神です。

しかし、DRの知識が足りないがために、問題まで同時に集荷してしまうことがありました。

佐川は店舗が保険の代理店となっているので、保険に加入してもらえばなんでも集荷します。
この保険の名称を「物保険」と言いました。

保険金額は1万円に付き10円。
ただ、佐川の店舗が保険代理店であるため加入金額は50円からでした。

つまり、1万円の商品に物保険を掛けても50円必要ということです。
保険金額により通達、審査等が必要な場合もありますが、1千万以上の商品を通常の方法で「発送」する企業は少ないと思います。
ただし、商品価値が明確な商品であることが最低条件です。
この「商品価値」がクセモノなのですが・・・。

保険期間は荷物を「集荷」してから「配達」が終わるまで。最長でも客先に配達してから1週間。
それ以降は保険を適用しません。いや、破損事故と認めません。
破損が多い店舗では配達終了から3日と聞いたこともあります。

保険適用外の荷物についての規則はあるのですが、現場では守られていなかった記憶があります。
航空券やパスポートを送る旅行代理店、テストの答案用紙と問題を送る教育機関、現場に青図面を送る建設会社。

集荷時に物保険に加入し発送したとしても事故の際、配達予定日に配達されずに「商品価値」がなくなってしまった、つまり使い物にならなかったとしても保険金は支払われません。
保険会社が保険金を支払うのは価格を明確にできる商品だけです。

この例だとテストの答案用紙とその問題、現場の青図面は世間一般で販売されていません。
販売価格がないものに値段をつけることはできない、保険会社から物保険金額が支払われることはありません。

あなたが保険会社に抗議しても、佐川に責任があると相手にされないでしょう。
では佐川ではその責任、商品価値をいくらに換算すると思いますか?
佐川でも保険会社と考え方は変わりません。

現実にあったことですが、ある教育機関が答案用紙を発送したところ紛失。これらには代品などありません。
それどころか受験生の運命まで左右しかねない事件です。
しかし預かった荷物が紛失して弁済できるのはなんと、商品価値の明確な「紙代」のみ。

A4版のテスト答案用紙が100枚なら、文房具屋で販売しているA4と同等の金額。
えっ、そんなバカな!?と思う方が多いのでは?

図面の場合も背筋が寒くなります。
青図面というのは設計事務所等で完成した図面のことです。これがなくては建設ができません。
やり直しにどれだけの時間を要するのか。また現場進行の遅れ、職人を手配した費用はどうなってしまうのでしょうか?

しかも図面は筒で発送されることが多いので紛失はしなくても、ベルトコンベアから転がってしまい発送モレ、翌日配達できないことは少なくありませんでした。

パスポート、航空券も大変です。

旅行当日にパスポートが届かない、航空券がなければ全ての予定がパアです。
旅行のキャンセル料、パスポート再申請のための手数料など、損失する金額は莫大なものとなります。

テストの点数がわからないので受験をやり直す、図面を書き直す工事進行の遅れ、パスポート、旅券がないので計画がすべてパアになった。
預けた荷物を紛失して何事だ!!
佐川によって被った被害は責任を取れ!
あなたは当然そう考えるでしょう。

しかし、佐川がそれらを負担する可能性はないでしょう。
運送約款(会社の責任等を明記した規約文)に荷物の延着による「間接損害責任」は負わないと明記されているからです。

「間接損害責任」とは配達される予定の荷物によって発生する損害です。
答案用紙、図面、パスポート、旅券。
これらの賠償はするが、これに起因する(関わる)損害は責任を負えません。
まあ、責任を負っても紙代じゃシャレになりませんが・・・。

佐川ではこれらの問題を起こさないように「集荷禁止貨物」があります。

集荷禁止貨物とは大きく分けると、代品が存在しないもの、有価証券、法律に違反するもの、その他生動物や液体物、梱包をしていない荷物も集荷禁止となっています。
しかし、先程のように問題が起こることは少なくありません。

佐川急便が責任を取れないということを誰が責任を負うの?
DRがお客様に約束すれば言い訳はできないでしょう?
しかし、それを売上確保のために黙認している現場責任者。DRも自分の責任の大きさに気が付こうとしません。

なんと言っても最後に迷惑がかかってしまうのはお客様です。
問題が起こった時にはお客様との関係を修復するのは大変です。
大切なお客様だからこそよく事情を説明した上で依頼を断るのもDRの責任だと思っていましたがどう思いますか?

東京店では受け入れてもらえませんでした。
逆にお客様の要望を断る最低DRと思われた時期もありました。

しかし、物保険を悪用したお客様も大勢いました。
1番多かったのがパソコン詐欺。
中古の壊れたパソコンを物保険に加入して発送。開梱後、壊れていると連絡して保険金を受け取る。
パソコンは電源を入れなければ動作しないのと、とても壊れやすい部品を使っているのでほとんどがフリーパスで保険金を受け取ることができました。

10万円の物保険に加入しても掛け金はたったの100円。
家電を処分してもお金がかかる時代です。100円を投資しても美味しすぎます。

ロレックスに500万の保険を掛けて発送。受け取り後、壊れていたとして連絡がありました。
時計なんてそうバラバラになるものではありません。
確認のため配送時の箱を要求しましたが、すでに破棄したとのこと。
梱包等についても交渉しましたが、「高額商品なら何故その場で中身の確認をしなかった?」の一言ですべてDRの責任になってしまいました。

このお客様との取引は現金で2週間、金額にして1万円にも満ちません。結局300万を支払いました。

しかし最も問題があったお客様は他にいました。このお客様の取り扱う商品は「壷」。

破損が多いからと物保険は期間単位で掛けていました。この方が保険金額は安くなります。
このお客様は売れ残った壷を倉庫に送る際、何の包装もせずにダンボール箱に入れて発送していました。
壷を裸でダンボール箱に入れて発送した破損率、 佐川では98%を超えるはずです。自作の壷の仕入金額なんて誰が証明できます?

このお客様の金額を受け入れるしかないでしょう。

物保険に入っていので破損すれば儲かってしまいます。担当DRは客が運賃交渉しないので喜んで集荷していました。
このお客様は1年程続けて移転していきました。

佐川ではまだまだいろいろな出来事がありました。続きは次回にします。

*この内容はフィクションではありませんが、あくまで私の体験談です。現在の状況についてはお近くの佐川急便へお問い合わせください***

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