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MailMagazine:ほんとうの佐川急便  Vol.11 佐川とキャンペーン
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2001年5月18日配信 佐川とキャンペーン

今年も母の日が終わりました。
みなさんも佐川急便の母の日キャンペーン(以下カーネーション)に協力した方も多いのではないでしょうか?

私は今までキャンペーンと聞くと購入者、つまりお客様が期間限定で有益な特典を得ることだと思っていました。
しかし佐川では全く逆でした。しかも他社伝、運賃表改定、単価アップ、指定書などなど、佐川急便は大のキャンペーン好きでした。 自分達が盛り上がるために年中「〜キャンペーン」を行っていました。
その中でもカーネーションにはひときわ深い思いがあります。

私が入社したのは3月下旬に入社のため、最初のカーネーションはコースを担当して約1ヶ月目。
この年は本業の集配さえ満足にできないので周りの先輩が助けてくれました。
新人が経験する1年なんてあっという間に過ぎてしまいます。コースのお客様も覚え、集配業務にも慣れた頃それは始まりました。

「いいか、お前ら。今年のカーネーションは1週間で終わらすぞ。あんなものいつまでも関わっていてもしょうがねぇだろ。まだチラシは手元にないけれど今週中には全員完売しろ。」

月曜日の係の朝礼で係長から指示がでました。

「今年は1人50本、単価は6500円。金曜日には必ず全員が325000円を入金完了するように。」

えっ?
今週中に完売?しかもチラシ類一切なしで?

周りを見回しても誰も何も質問しません。
先輩達は係長の言葉を黙って聞いているだけ。ってことはこの人たち今週中に完売できるのかな?
とてもそう見えないけどなぁ。

「係長、チラシはいつくるのですか?何もないとお客さんをとても説得できません。」

私は先輩達を代表するつもりで聞いてみました。

「バカヤロウ!!販売する前に諦める奴がいるか!お前は今回(カーネーションは)初めてか?だったら先輩に良く教えてもらえ!朝の貴重な時間を無駄にするんじゃねぇよ!」

かくしてカーネーションキャンペーンは始まりました。

まず火曜日に完売したのが3人。水曜日にまた2人。
私は木曜日になってまだ1本も売れていません。
完売した先輩や周りの先輩達にどうやって販売したのか聞いても、う〜んとか、日頃の行いだねとか。あまりに抽象的で全く参考になりません。

木曜日の夜、荷おろし時に他の係の先輩が声をかけてくれました。

「どうだ、カーネーションやってるか?」

私は自分の全く売れていない現状を伝えて助言を求めました。

「そう言ったってお前、カーネーションを定価で販売してんだろ?それじゃ無理があるんじゃない??全額自腹より1000円値引いて販売したほうがいいだろ」

えっ、売れなきゃ自腹なの!?
50本で325000円、今週中に入金とはそういうこと!?

「なんだ知らなかったのか?どこの係でも一緒だろ。完売するDRがいるんだから売れないのはDRの責任。佐川が協力して販売したものが売れ残ることは絶対にねぇんだよ。売れ残ったら販売したDRが全責任を負うんだからな。」

何!?とんでもねぇ話だな!なんで俺が売れ残ったカーネーションを買うんだよ!
俺達は運送屋だよ、花屋じぁないんだぜ!チラシも無いカーネーションをどうやって販売するの?

翌金曜日の朝、完売した先輩達を追求したところ、完売した全員が価格を値引いて販売していました。
しかも毎年値引いているんだと!!

そうか、だからお客様はしきりに値段が高いと言ってたんだ!
昨年と同じ商品が1000円も高けりゃ誰も買わねぇわな。それに締切日が近くなると値段が下がるんじゃなぁ・・・
こいつらそろってバカだな、自分で自分の首しめてどうすんだよ。

しかし残された時間は今日1日、なげいていたって何も解決しません。
佐川は結果が全て。こんな先輩達に負けるのは絶対に嫌です。
配達と後便を即座に終わらせ、本日はカーネーションのみに専念することにしました。

いつも出荷してくださるお客様はもちろん、電話集荷のお客様にも2、3回とお願いして回りました。
値引きしないのならそれに見合う何かを付けて欲しい、この要望が最も高いことが判りました。

う〜ん、何を付属できるかな?私が出費するのでは値引きと同じで意味がありません。
受取る相手には不満はないんだな。 やはりカーネーションを買ってくれた本人へ貢献できることか・・・

そうだ!遊園地のペアチケットを差し上げよう。

佐川では福利厚生の一環として遊園地で遊ぶことができたのです。
豊島園、サンリオピューリオランド、後楽園遊園地。 この3箇所は申請すれば1日フリーパスがもらえます。

「わかりました。それでは遊園地の1日フリーパスをペアで差し上げます。3カ所から選んでください。」

このトークでようやくノルマを40本達成することができました。

「今日1日で40本達成しました。」

会社に帰って係長に報告しました。

「何?40本!?バカヤロウ!!あと10本足りねえじゃねぇか!」

佐川の評価はホント結果だけ・・・。

「明日でて来て達成しろ!休みだぁ!?仕事も満足にできない奴に休みがあると思ってんのか!」

翌土曜、日曜とコースに電車で通いましたがお客様はお休みです。
しかし、売れる可能性はゼロに等しい中、ビルの警備員の方が事情を聞いてくれ、購入して頂いたことは今でも忘れません。

もっとも先輩達も苦労していたようです。

チラシを何とか手に入れカラーコピーして地下鉄の出口で配布した人、自分の前職の同僚に頼み込んで販売した人、友人の社長に無理やり買わせた人。
みんな難題を自分で考えて最高の努力をしていました。

翌年は単価が4500円に下がったものの、ノルマ本数は85本に増えました。
これはしびれましたね、親戚中へ発送しました。
これでもきちんと達成するDRがいたから驚きます。

この年のDRの最高販売本数は200本以上でした。
このDRがお世話になっている会社へ相談したところ、福利厚生費として全社員へ発送が決まったとのことでした。
世の中何が起こるかわからない・・・

後年噂で聞いたのですが、このカーネーションの仕入れ元はH花壇だそうです。
昔、佐川が困った時に大変お世話になり、 その恩返しとして母の日キャンペーンが始まったらしいのです。
当時のH花壇の佐川担当係長は今や部長にまで出世したと聞きました。

単価が高かったのは佐川の利益と輸送費!まで上乗せされていたからだそうです。
1番の被害者は協力してくれたお客様だから、後年、東京だけに美味しい思いをさせるかと本社管轄になり、全国規模で展開するにつれて品質が悪くなっていくのは許せなかったなぁ。

最後に何をするかわからないDR達を紹介しましょう。

Fさん。

彼は目標を達成するのは不可能だと自分で悟り、得意の競馬で金額を確保したが送り先が見当たらない。
そこで彼はあることを実行しました。

カーネーション配達当日、
「こんな気味が悪いものは受取れない」
配達先から電話の対応に東京店業務課は1日追われてパニック状態。

Fさんは電話帳に記載された孤児院へ1本づつ花を発送したのでした。
送り主欄に「あしながおじさん」と記入して・・・

Oさん。

彼は全額同じお客様が購入すれば現金入金しなくても済む、請求書で処理できることを発見しました。
そこで彼は何と、 お客様に通常発送用の袋をカーネーションの金額分販売して納品。
請求名目はカーネーションになっていましたが特に問題は起きなかったようです。

当然ながらこの方法を後年真似するDRが増えて深刻な問題になりました。

近年は15本あたりか思いますが、今年の目標個数はどうだったのでしょう?
問題も多かったけど感動もそれ以上にあった母の日キャンペーン。お世話になったお客様、ありがとうございました。

*この内容はフィクションではありませんが、あくまで私の体験談です。現在の状況についてはお近くの佐川急便へお問い合わせください***

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