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2001年9月21日配信 東京佐川事件
メールマガジンを読んだ感想をいただくことがあります。
読者からの素直な感想ほど嬉しいことはありません。
特に佐川急便関係者からの感想はありがたく感じます。
東京店しか知らない私にはとても新鮮で参考になります。
先日、九州ブロックの元DRさんから感想をいただきました。
私の在籍時は良くも悪くも九州ブロックは最も佐川らしいと噂されていました。
彼も佐川に入社するキッカケは当時のDRの殆どがそうであったように、金銭関係が原因だったそうです。
私も佐川で働くことによりお金で買えない何かを得たような気がする、それは「飛脚の心」だったのではと感想をいただきました。
そして今の佐川は「飛脚の心」を忘れてしまったのではと嘆いていました。
飛脚の心・・・
飛脚は荷物を命よりも大切に扱い、荷主様との約束を守るために命をかける。
荷主様の信頼を決して裏切らない。
信頼のない者には誰も大切な金庫の鍵を預けない。
佐川急便創設者である佐川清は「飛脚の心」を守る決意をして、初心を忘れないように自分で描いた飛脚を社章にしました。
佐川急便が社是に挙げる顧客第一主義の原点はここにあります。
私が東京店に入社した頃、現場から吸い上げられたお客様の声を役職が改善していく。
まだ「飛脚の心」は現場で尊重されていていた気がします。
ではいつ頃から変化したのだろうか。
私は東京佐川事件が大きな転機だったと思います。
東京佐川急便事件。
事件の詳細はみなさんがご存知の通りです。
私は東京佐川事件以前に入社しました。
当時の現場はT次長を筆頭にA課長・K課長が全てを仕切っていました。
当時は今よりも多くの問題を抱えていましたが、DRはもっと元気良く、伸び伸びと仕事に励んでいたと思います。
各課長からの「命令」は係長が各DRへ伝えていました。
先輩上司は絶対である当時の佐川では指示は命令であり、DRは係長からの要求は必達して当たり前でした。
時にはむちゃな事をしてお客様と問題を起こすDRもいましたが、係長は「必ず」問題を解決してくれました。
給与面でも店番テスト(*1)があるものの、入社後1年経てば先輩達と同額が支給されます。
みんなでがんばって得た金額を同等に分け与える会社は他に類をみません。
1年経てばベテランDRと言われ、各DRは個性豊かに自分のやり方で最大の努力をしていました。
しかし、東京佐川事件以来様子が変わってきました。
T次長は他ブロックへ転勤、K課長も北海道にある関連会社の社長として転勤していきました。
A課長は東京に残ったのものの、現場とは離れた役職になりました。
そして他店から大勢の課長、係長が転勤してきました。
彼等の多くは佐川の中枢である東京店を自分の野望の為に利用し、多くの係長はもみ手で歓迎してお気に入りになろうと努力していました。
役職同士での蹴落としあいも激しく、それからの東京店は役職が目まぐるしく代わり始めました。
これらは社長から支社長と名称が変わった責任者にも及び、私が知るだけでも4人は代わっています。
佐川急便で現場の人間が這いあがれるのは最高で店長までです。
その店長になるためには東京店での実績が大切です。
最有力候補である課長連中は実績作りのため、お客様さえ無視した指示を出す者もいました。
DRは係長に気に入られるような仕事を選ぶようになり、係長は課長に喜ばれる仕事に精を出すようになりました。
当然お客様からの要望は改善されず、役職第一主義になったと嘆いて多くの個性あるDRが辞めていきました。
上司に気に入られて役職になっても、ババ抜きのような責任のまわし合いに負ければ辞職の道があるのみ。
今では東京店の昔を知る者は一握りのDRだけになってしまいました。
DRを自分の野望を達成するための階段としか思わないような上司、お客様からの声が全く反映されない現場。
次第に現場から「飛脚の心」は消えていきました。
「困った時の佐川頼み」
いつのまにかお客様から期待の言葉が消えてしまいました。
飛脚の心を失った時、佐川急便はすでに潰れてしまったのかもしれません。
*1-店番テスト
佐川では全国を大きく0〜9のブロックとして分類し、各地区の店を番号で表します。
伝票に赤マジックで記入されている数字が「店番」です。
荷物集荷時に正しい店番を素早く記入する必要があり、間違った店番を記入すると荷物はとんでもない場所に行ってしまいます。
佐川急便内での郵便番号のようなもの。
当時の課長の話によると1日当り約25万個の「店番ミス」による配達の遅れがあり、正しい店番を記入できなければDRとして認める訳にはいかないとのことでした。
全国の店番対象にを正しく覚えているかテストし、合格者だけが昇給の対象になっていました。
こんな制約があったのは東京店だけみたいです。
*この内容はフィクションではありませんが、あくまで私の体験談です。現在の状況についてはお近くの佐川急便へお問い合わせください***