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MailMagazine:ほんとうの佐川急便 Vol.23 とある日(新人編)その3
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2001年11月2日配信 とある日(新人編)その3

------------前回からのつづき------------

配達は終わったけど、今日も昼飯の時間はない・・・
まだまだ努力が足りないのだろうか?
せめて11時30分に配達完了すれば人並みに「食事」ができるのに。

そんな事を考えながら、まずは配達時に出来上がっていた荷物の集荷に伺う。

「こんにちは〜、佐川急便です」

「ありがとうございます」

今日の目標はTop便(*1)5個、P便(*2)7個、他社伝(*3)15個だったな。

あっ、この荷物伝票に午前10時必着と書いてある!

「忙しいところすいません、これTop便に変更しませんか?」

「だって都内だよ。時間指定にしなくても午前10時には配達するでしょ?」

「配達は朝1番から始めても最後はお昼近くになっているのが現状です。毎日間違いなく午前中に先方へ配達に伺っていると思いますが、それが何時になるのかは業務終了後、先方の担当DRに確認が必要です。大事な荷物だと思い配達が確実なTop便での発送をお勧めしたのですが・・・」

「あっそ、じゃTop便で送って。値段はそう違いないでしょ?」

「はい、それ程変わりません。」

よし、Top便はあと4個だ。

P便は心配ないな、定期客の社内メールで目標が達成できる。
問題は他社伝か・・・

他の先輩達のような安易な真似は嫌だな。
自分から安い運賃を提示するなんて信じられない!!

佐川のサービスは他のどんな運送屋にも負けないんだ。
最高のサービスで最高の収益を上げるのが佐川急便だと江ノ島(*4)で教わったし、正直不安はあるけれど、自分が実行できるのはこれしかない。
自分が担当コースを持った以上、これだけはどんな事があっても譲れない。

おっ、これは今朝配達した荷物だ。
ここに山になって出ているってとは・・・

「すいません、表にある大阪行きの荷物は誰が担当者ですか?」

卸問屋なのに出荷担当者は各営業マンなんて不便じゃないのかな?
窓口をひとつにした方が効率良いと思うのは自分だけ?

「どうですか、佐川で出荷してもらえませんか?」

「えっ、だって佐川さん運賃高いでしょ?」

「そんなこと無いですよ、D社で出荷予定ですか?」

「う〜ん、詳しく知らないんだけど、佐川さんはとにかく高いって有名だよ。それにそんなに欲張らなくても荷物いっぱいあるんでしょ?」

「いやぁ、O産業さんが出荷を佐川だけにしてくれれば、もう営業なんてしなくても良いのですが・・・出荷していただけるのでしたら、明日午前中必着にして1個当り1,000円にします。D社では大阪へは明日配達できないと思います、どうでしょうか?」

「そうか。じゃ、D社に運賃を確認しておくから後でもう一度来てよ」

「はい!よろしくお願いします!!」

これが獲得できれば一気に他社伝は達成だな。
後で追い込まれたくなかったら、目標は早めに達成すること。
嫌な先輩達から学んだこと。

もうすぐ2時30分、本日最終の配達分をもらいに行かなきゃ。
追加が日に2回も来るからまだまだ上手く時間を使えないな。

「このやろう、来るのが遅えんだよ!少ない配達でチンタラしてんじゃねぇ!!」

「おい、新人、もう目標達成したんだろうな!いつもお前だけ達成できねぇんだからな!!今日こそは全達成して来いよ!!!」

はぁ。本当にこの先輩達は営業マンなんだろうか?
この人達の口調からはどうも信じられない。

それにしても最終便の荷物の多いこと。
こんなに毎日延着していたら、そのうち愛想つかされるよ。
全国午前中必着の佐川がこんなことで良いの?

さあ、配達も終わった。
他社伝はどうなったかな?

「忙しいところを何度もすいません。先程お願いしたD社の運賃確認できましたか?」

「ああ、佐川さん。ごめん、忙しくてさ、また後で来てくれる?」

う〜ん、また後でか・・・
時間的に厳しいが、お願いする立場は弱い。

「はい!わかりました!!」

目標を達成するためにはどうしても集荷したい。
とりあえず、早めに定期集荷を廻って時間を作ろう。

「ありがとうございます!佐川急便です!」

「あっ、佐川さんいいところに来た。奥の荷物出来上がっているよ。邪魔だからさ、今持っていってよ。」

奥に?邪魔? 嫌な予感が・・・
げっ、これは今日配達した45個口じゃないか!
しかも50個に増えてる!

出荷してくれるのはありがたいけれど、いきなりこれじゃ厳しい。
これじゃさっきの他社伝の確認に行く時間が無くなってしまう。

「はい!わかりました!!」

今はとにかく早い集荷に専念すること。

考えている暇があったら体を動かせ、どうせやらなきゃいけない事なんだからハイと返事しろ、普段上司先輩からキツク言われている言葉を思い出しました。

時間に追われて必死になっているときは余裕なんてないけれども、これこそ佐川だって実感を十分感じることができる。
なんだかんだ言っても仕事はやりがいが無くては満足できないのかな。
当然それに見合う給料も必要だけど・・・

はぁはぁ。
ようやく積み込んだぞ。
担当者が帰社する前に他社伝の確認に行かなきゃ。

「あっ、佐川さん。ごめん、まだなんだよね。6時まではいるからさ、もう一度来てよ。」

6時! そんな忙しい時間に行けるかい!!

「はい!わかりました!!」

お願いする立場は本当に弱い。

定期集荷の最終は5時頃からです。
もちろん午前中も集荷しますが、1日の最終集荷時間はお客様の終業時間に合わせています。
当然、終業時間が重なる5時過ぎから忙しくなります。

それでも他社伝は欲しい。
いや、ここまできたら何があっても絶対に持って帰る!

しかし今の先輩達は本当にお客さんを開拓してきたのかな?
確かに労働時間は長いくて体力勝負なところはある。
しかし、新規顧客開拓をしている先輩は皆無。
新参者の佐川急便の歴史を作った先輩達は何処に消えたのだろう?
それともそんな先輩達には「新人」の私は相手にされていないだけ??

「ありがとうございます!佐川急便です!!本日最終集荷ですが、あとお荷物はありますか?」

「あっ、佐川さん。あと10分したらもう一度来てよ。」

あと何分て言われた時間に荷物が出来た試しがないんだから。
まあ、遅くに荷上がりするお客様のために佐川急便はあるのだけれど・・・
最高のサービスで最高の運賃か・・・

もう6時過ぎてる! 他社伝の確認行かなきゃ!!

「ありがとうございます!佐川急便です!!」

「佐川さん、今日は集荷時間いつもより早いんじゃない?どうしたの? またあとで来るんでしょ?」

「はい!発送の件でAさんに相談にきたのですが。見当たらないようですが、今は忙しいのでしょうか?」

「ん、A? もう帰ったんじゃないかな?ほら、タイムカードが裏返ってるよ」

帰った??
ガーン、今までのやり取りは何だったのだろう?
お願いする立場は本当に弱い、相手のいいなり。

----------------------またまた 続く------------------------------

*1-Top便
 時間指定便の名称。
 お客様から指定された時間までに配達されなかったら料金は返金すると約束しています。
 運賃は決まっており、特約割引はない。

*2- P便
 航空便の名称。
 通常中1日かかる九州、北海道へ翌日配達可能。

*3-他社伝
 文字通り他社、佐川急便以外で出荷する予定の荷物。
 毎日の売上が足りないととにかく他社伝を持って来いと指示がでました。
 荷物に付いていた他社の伝票をはがして上司に見せるとDRの評価が上がりました。
 しかし、荷物は集荷せずに他社の伝票だけをもらってくるDR、重量・大きさなどを無視した同業他社よりも安い運賃で集荷、そんなDRが大勢いて本当に自分達の利益になっているのか疑問でした。

*4-江ノ島
 佐川急便に入社したらまず「江ノ島研修」に行きます。
 詳しい内容は過去メールマガジンを参照して下さい。

*この内容はフィクションではありませんが、あくまで私の体験談です。現在の状況についてはお近くの佐川急便へお問い合わせください***

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